バンクーバー、スタートアップ企業で得たこと

どうもノリです。
本記事はバンクーバーにてお世話になっているFrog Creator ProductionのFrog Advent Calendar 2017の18日目の記事です。

今回は僕が経験したバンクーバーのスタートアップ企業(以後A社)での体験をお伝えしたいと思います。

会社について

現状からまずお伝えすると、今回お話するA社は資金繰りができておらず、すでに廃業しています。

A社は 売上0顧客も0 で出資だけで成り立っている典型的(?)なスタートアップ企業でした。
他の従業員の話によるとすでに創業2年くらいで4億くらいの出資を食いつぶした、と噂されていました。なんか怪しいですね。

働くまでのこと

バンクーバーで有名な求人情報サイトのindeed.comにて、求人を発見しレジュメを送ったことがきっかけでした。
なんと送ってすぐに返事があり、インタビューの日程が決まりました。仕事を見つけるのは大変と聞いていたので「なんだ、こんなものか。大丈夫かこの会社?」と正直思いました。

海外のインタビュー(面接)はとても難解なTechnical Questionがあると聞いていたので準備をしていたのですが、そういったものはなく、とても基本的なことを聞かれるだけで終了し即日で採用が決まりました。
こときはカナダでの初めてのFull-Time採用だったので嬉しくてしょうがなかったのを覚えています。

作っていたもの

コミュニケーションアプリです。ただし、スカイプのようにVoIPでの通話ができ、Google Driveのようにファイルの保存や共有ができ、電話帳アプリの用に友人情報を管理でき、Lineの用に個人やグループでのチャットができるという、オールインワンなアプリでした。

僕はこのアプリには正直に言うと懐疑的でした。というのも、スタートアップ企業のアプリはバグがあってもとにかく小さく作ってはリリースして、クライアントからのフィードバックを得て、改良したり機能追加して、大きくしていくものだと思っていて、このアプリは全部作ってバグをなくしてリリースと、真逆なことをやっているからでした。あと、すでに大手がマーケットを握っている分野の機能をただ一つにまとめただけのアプリが、うまくいくとも思えませんでした。

給料

給料は基本的にものすごく良かったです。
特にカナディアンで技術がある人は 100,000CAD/year を超えていたと思います。

だが、しかーし!
遅配です。そうです。支払いが数日〜長いときだと1ヶ月遅れるのです。
もう毎月のように遅れるので皆それに慣れてしまい、月初の話題は決まって「Did you get pay?」となるほどでした。ちなみに最長で3ヶ月くらい無給で働いてるインド人がいましたが、僕には彼が何を考えているのか理解できませんでした。

あと、給料日が月末締めの月初払いだったのですが、実はカナダBC州では月に最低2回の給与支払いを行わなければならないそうで、この部分も規律を破っていました。

採用

採用はもうCrazyな状態でした。何がCrazyかというと、技術経験のない社長が勝手にDeveloperの面接をして、勝手に採用してしまうのです。

ある日ピーターというAndroid Developerが出勤してきたので、誰が面接したんだろう?ともいながら、最初の指示として、GithubからプロジェクトをダウンロードしてAndroid Studioでアプリをデバックするところまでお願いしました。

あとで進捗を見に行くと、

ピーター:「gitってなに?使ったことないんだよね。」
ピーター:「Android Studioってまだやったことなくてさ、Eclipseしか知らないんだ」
僕: 「!? Gitはまあ、あれとして、AndroidStudioでて2年は経つよ!何してたの????」

ちょっと待てよ、となるわけですよ。
僕も自分の作業があるので、こんなレベルのことをいちいち教えている暇はないわけです。

そこですぐにHRの人ところにいって、誰が採用したのかを確認。しかしなんとHRも知らない、それは多分社長の独断だと。
それでしかたなく今度は直接社長に勝手に余計な人を雇わないように強く念を押したのでした。面接するなら必ず技術者を同伴させるようにと。
それでなんとかAndroid Developerの採用の暴走は止まりました。他の部門は知りませんが。。。

ワンマン社長

技術を知らないにもかかわらず勝手に人を雇うほどの社長のワンマンぶりをもう少しご紹介しましょう。
あるとき社長からある作業を依頼されました。
社長:「Hey Nori. ここの部分のフォントサイズをもう少し大きく、あとボールドにして」
僕:「僕はデザイナーから渡された資料を元に作ってるんだけど、この変更はデザイナー了承していますか?」
社長:「いや聞く必要はない。とにかく変えてくれ。だってこっちの方がCoolだろ?」
僕は「!!!?(え?なんで?社長はデザイナーじゃないだろ?Coolって何?それ社長が決めるの?クライアントじゃないの?)」

こままだと議論にならないので、一旦渋々OKして、あとからデザイナーに確認すると、

デザイナー: 「そんなの聞いてない。その部分を変更すると他も修正しないと全体の統一感がなくなる。一旦やらなくていい。社長とはなす」
僕: 「お、OK.じゃあ任せるね」

と。なのでその時は一旦Pendingしました。

すると数日後、他のAndroid Developerがなにやらデザインを変更したPRを作ったので、レビューのときに「この変更は一体何?」と聞くと、

他Android Developer: 「社長に言われたんだ。」
僕: 「!?!?!?!?」

そうです。
僕に依頼しても僕が作業しなかったため、社長は他のDeveloperに頼んだのでした。
このときは「こんなオペレーション絶対に間違っている!」と思いながらもそのPRをマージするしか選択肢はありませんでした。
それ以来社長が直接指示をしてくることはありませんでした。

レイオフ

A社は多いときで35名程度の従業員を抱えていました。

そんなあるとき、突如として

25名の従業員がクビ

になりました。いきなりです。

しかもその25名は最後の月の給料ば未払いのままです!(結局払われないまま潰れました。。)

理由は投資家の1人が急遽出資を打ち切り従業員の給料が払えなくなったから。
ろくな経営戦略も事業計画もないまま一気に人を採用してしまったツケが来たのです。
僕はなんとか生き残れましたが、これはマズイ!と思い、この時から転職準備を始めした。

そして、3ヶ月後に

更に5人がクビ

なります。ここでも僕はなぜか首の皮一枚で生き残りましたが、他で採用が決まりこれを辞退。
他に残った従業員4人は会社を信じて残ることになるのですが、その1ヶ月後に社長とのその周りと連絡が取れなくなったそうです。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます!
僕にとって初のカナダでのFullTimeでの就労経験としては辛い部分が結構ありましたが、そうそう経験できるものではないと思い、本当に貴重な体験ができたと思います。

日本ではブラック企業とかやりがいの搾取など言われて、労働者を低賃金で長時間こき使う企業のことがとりあげられていますが、それは別に日本だけに限った話ではないのだということです。

バンクーバーでビジネスコースをでた学生のインターンシップは、3ヶ月も無給というは普通にあると聞いたことがあります。これもちろんグレーなんだと思いますが、学生の間ではあたりまえになってるようです。

これからバンクーバーで仕事をしようと考えているあなたや、今から就活を控えているあなたにとって、こういう企業もあるというのをしっかり理解して慎重に企業を選んでもらえればうれしいです!

それでは

スポンサーリンク
レクタングル(大)